どうして糸が抜けないことがあるのか?

(1)糸の脱色がある場合

美容外科で二重埋没法の際に使われる糸はナイロン、ポリプロピレンの2種類です。

ナイロンはもともと黒or青色ですが、加水分解によって時間経過とともに脱色し最後は透明になります。ポリプロピレンは青色の糸で経年変化による脱色が起こりません。

もし二重埋没法にナイロン糸が使われていた場合、糸が透明になって目視で見つからず、抜糸が困難になるのです。

逆に透明な糸をどうやって抜糸するかですが、皮下組織の膠原線維と埋没法の糸とでは手触り、感触、硬さ、ハリが異なります。見た目周囲と同化している糸も、鑷子の先でくすぐるように触ると独特のカチ!という手触りが残っています。この手触りを探し出すのです。

(2)二重は外れているけど抜糸したい場合

外れていない二重の糸は皮膚表面近くにあり、外れてしまった二重の糸は眼輪筋かもっと深いレベルまで落ち込んでしまっていることが多いです。埋没が外れるというのは糸が皮膚から離れてしまったときに起こるからです。

二重が外れてしまった方で抜糸を希望される方はあまりいらっしゃいませんが、希望された場合はこちらにも気合が必要です。眼輪筋より深いところの結び目は探すのが難しいからです。

(3)二重埋没法に使う糸に細工がしてある場合

あまり知られていないオリジナルの方法を含めると私の知らない細工がたくさんあると思われます。糸は本来ツルツルしていますがこれを意図的に凸凹にしてある場合、糸を引っ張っても抜けません。抜糸は大変困難です。

凸凹にする方法はいくつかありますが、一番簡単なのは糸の途中途中に結び目を作っておく方法があります。ではなぜ糸を凸凹にするのか?それは二重埋没法を外れにくくするためです。

上記(2)でお伝えした通り埋没が外れる現象は糸が皮膚から離れてしまったときに起こります。糸が凸凹していると周囲組織との抵抗を生み、糸が深いところに移動しづらくなります。すると皮膚の近くにとどまり続けるので埋没法が外れにくくなるのです。

賛否両論あるこの方法、昔は私もやっていたのですが、埋没法はやり直しがきくから埋没法なのです。抜糸できない埋没は本来の埋没法の良さを消していると思います。

また、現在はもっと持続力があり抜糸も通常通りにできる埋没法が生み出されていますので(うちのやり方です笑)糸を凸凹にする必要がありません。