院長の村田です。
第1回目は、二重埋没法の種類とメリット・デメリットについてご説明します。
クリニックによっていろんな名称でメニュー化されている二重埋没法ですが、実はコンセンサスのある(美容外科医のほとんどがその効果を認めている)二重埋没法はすべて、下にある分類のどれかに含められます。
【A】連結する位置による分類:挙筋法、瞼板法、移行部法
【B】使う糸の本数とかけ方による分類:点留め、線留め、自然癒着法
【C】結紮(結び目)の位置による分類:表留め、裏留め
このコラムではそれぞれの方法、メリット・デメリットについて説明します。
【A】連結する位置による分類
①挙筋法
(方法)挙筋腱膜(ミュラー筋を含む)と皮膚とを連結します。
(メリット)施術が容易、違和感(ゴロゴロした感じ)が出にくい。
(デメリット)瞼板法や移行部法よりも眼瞼痙攣や頭痛が起こりやすい。何回も施術したり強く締めすぎたりすると眼瞼下垂が起こることがある。
②瞼板法
(方法)瞼板(瞼の中の軟骨成分)と皮膚とを連結します。
(メリット)眼瞼痙攣や頭痛、眼瞼下垂が起こりづらい。瞼板は組織として強いので複数回の施術に耐えることができる。
(デメリット)挙筋法よりやや難しい。ゴロゴロ感が出ることがある。
③移行部法
(方法)瞼板上縁(挙筋法と瞼板法の中間)と皮膚とを連結します。挙筋法と瞼板法のいいとこどりの性質です。
【B】使う糸の本数とかけ方による分類
①点留め(点状固定法)
(方法)糸のかけ方が二等辺三角形になります。皮膚は二等辺三角形の頂点1点だけで固定されます。
(メリット)簡便、早い。
(デメリット)固定力が最も弱い。固定力をあげるためには結び目が複数できることになる(糸を複数本使う)。点で固定するためデザイン性が低い。個人差はあるが短期間で外れることが多い。
②線留め(線状固定法)
(方法)糸のかけ方が長方形になります。皮膚は長方形の一辺(線)で固定されます。
(メリット)点状固定法に比べて固定力が強い。
(デメリット)デザイン性は点状固定法と一糸多線状固定法の中間くらい。さらに固定力をあげるためには結び目が複数できることになる(糸を複数本使う)。
③自然癒着法(一糸多線状固定法)
(方法)1本の糸で一筆書きを描くように固定します。皮膚は複数の線で固定されます。
(メリット)結び目が一つしかできない(糸を1本しか使わない)。固定力が強い。抜糸が容易。
(デメリット)手技の難易度が最も高い。
【C】結紮(結び目)の位置による分類
①表留め
(方法)結び目が皮膚側にくるかけ方です。
(メリット)多くのクリニックでファーストチョイスとされている方法なので、多くのドクターが修正、抜糸できる。
(デメリット)皮膚の薄い方は結び目のポコつきが目立つことがある。術後数日は針穴が目立つことがある。
②裏留め
(方法)結び目は粘膜側(まぶたの裏側)にくるかけ方です。
(メリット)結び目のポコつきを心配する必要がない。皮膚に針穴ができない。術直後から瞼にメイクができる。表留めよりも固定力に優れている。
(デメリット)慣れていないドクターには施術や抜糸の難易度が高い。過去に裏留めの二重埋没法を受けたことのある方には適応できないことがある。
術式を選ぶなかで大事なことは、患者様のニーズと埋没法の既往、皮膚の状態とデザインの希望にそってイメージをしっかりと共有できるカウンセリングをすることです。
院長 村田 将光
博多もへじのクリニック
診療科目/美容外科 美容皮膚科 形成外科 ※保険診療(眼瞼下垂)
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