「クマって脂肪を取るだけじゃダメなんですか?」
日頃クリニックで診療しているときよく聞かれる質問です。目の下のクマの対処は複雑で難しいですよね。不要な注入を勧められたり、切らないと難しいといわれたり、いったい何をすればいいの?と皆さん悩まれるのも仕方がありません。
目の下のクマの原因は、実は5つあります。また施術それぞれで対応できる症状とメリットデメリットがあります。このコラムでは美容外科で受けることのできる目の下の施術の代表的なものと対応できるクマの原因について表にしてまとめます。5つの原因の詳細とメリットデメリットについても説明しますのでみなさんぜひ参考にしてみてくださいね。
ふくらみ | くぼみ | 黒み | 赤み・茶色み | しわ・たるみ | |
目の下のふくらみ取り | ◎ | ― | ― | △ | ― |
目の下のたるみ取り | ◎ | ○ | ― | △ | ◎ |
表ハムラ法 | ○ | ◎ | ― | △ | ◎ |
裏ハムラ法 | ○ | ◎ | ― | △ | ― |
ヒアルロン酸注入 | ― | ◎ | ― | ― | ― |
脂肪(CRF)注入 | ― | ◎ | ― | ― | ― |
脂肪(ナノファット)注入 | ― | ― | ○ | △ | ○ |
ベビーコラーゲン注射 | ― | ― | ○ | ― | △ |
スネコス注射 | ― | ― | ― | △ | ○ |
美容内服(Vit.Cなど) | ― | ― | ― | ○ | ― |
(1)目の下のふくらみ=眼窩脂肪
眼窩脂肪が徐々に表面に出てきて、皮膚の下でふくらみになります。一般的に加齢性変化といわれていますが若い方でも見られます。眼窩脂肪は薄い膜につつまれて3つに分かれています。若いときは内側、時間とともに外側まで脂肪が出てきます。
【目の下のふくらみ取り】は皮膚に傷をつけずに眼窩脂肪を取れるのがメリットです。デメリットは脂肪の量が多すぎると難易度が上がることです。
【目の下のたるみ取り】は皮膚を切開して眼窩脂肪を取る手術です。どんなに多い脂肪でも十分に取れること、ついてに皮膚のたるみも切除できるのがメリット、皮膚に傷ができるのがデメリットになります。
【ハムラ法(表・裏とも)】はこの脂肪を移動させることで目の下のくぼみの改善にもなるのがメリットです。デメリットは目の下が重い印象に見える仕上がりになる場合があるのとダウンタイムがやや長めであるということです。ハムラ法は表ハムラ、裏ハムラとも原理は同じですが、裏ハムラ法の方が皮膚に傷をつけないので人気があります。
(2)目の下のくぼみ=眼窩縁の引き込み(ティアトラフともいいます)
目の下の皮膚は深いところにある骨と靭帯で引っ張りあっています。頭蓋骨の目の穴を想像してみてください。あの穴と皮膚とが引っ張り合っていますので、年齢とともに皮膚のハリがなくなってくると奥に引っ張られて、穴の形がみえるように窪んでくるのです。
眼窩脂肪(ふくらみ)があろうとなかろうと窪んでいることとは無関係なので、眼窩脂肪を取るだけではこのくぼみは改善しません。
【ヒアルロン酸注入】はくぼみをヒアルロン酸で持ち上げる施術です。ヒアルロン酸のメリットは溶かせること、わりと安価で手軽なこと。デメリットは効果持続が1~2年程度であることです。
【脂肪(コンデンスリッチファット)注入】はヒアルロン酸と同じく注射でくぼみを持ち上げることができます。脂肪注入のメリットは自分の組織を使えること(アレルギーなどが少ない)、脂肪が定着すればヒアルロン酸より長持ちすることです。デメリットは定着できなかった脂肪はシコリになって溶かせないこと、脚や体幹からの脂肪吸引をする必要があることです。
【ハムラ法(表・裏とも)】は眼窩脂肪を利用してくぼみを持ち上げる手術です。脂肪を切り取らずに利用しますので定着率が高いのがメリットになります。デメリットはダウンタイムがやや長めであるということです。
(3)目の下の黒み=眼輪筋が透けて見えている
目の下の黒みはその対処が難しいものです。皮膚の薄い方、皮膚が白い方は皮膚を光が透過して、その下にある眼輪筋が透けて黒く見えるのです。
【脂肪(ナノファット)注入】は自分の脂肪の中に含まれる幹細胞など、組織の元になる成分で皮膚の透過性を改善するための施術です。脂肪吸引の回数が1回で済むことから、コンデンスリッチファット注入に併せて施術を行うことが多いです。ナノファットと血液成分のPRPを併せて注入し、効果をより高めたりする報告もあります。わりと歴史の浅い施術なのでエビデンスについてはこれからたくさん出てくるでしょう。
【ベビーコラーゲン注射】は皮膚・皮下組織の元となるベビーコラーゲン(既製品です)を注入して皮膚皮下組織を丈夫に頑丈にする施術です。メリットは既製品なので手軽であること、デメリットは量によってはボコつく可能性があること、回数を重ねる必要があることです。
(4)目の下の赤み、茶色み=色素沈着
目の下の赤み、茶色みについてはその原因がわかっていません。目の下のふくらみに合併して見られることが多いので眼窩脂肪が関与している可能性は高いのですが、それ以外にも外的刺激(こすったり紫外線にあたったり)や内的要素(体質)も関与しているといわれています。眼窩脂肪を取り除くのは良い効果につながることが多いです。美白内服(ビタミンC、トランサミン)もある程度の効果があるでしょう。しかし脱色剤の塗布やレーザー治療は逆に色素沈着の悪化につながる可能性があるので、私はおすすめしていません。
(5)しわ、たるみ(=加齢性変化)
目の下の皮膚がたるんでいると、しわに影がおちてクマに見えてしまいます。シワには小じわと大きなシワがあり、それぞれ対応が異なっています。
【SUNECOS注射】は皮膚の再生を促す力がある注射で、主に小じわに効果があります。1か月ごとに3~5回程度の注射で目の下の小じわが目立ちにくくなります。
【脂肪(ナノファット)注入】は自分の脂肪の中に含まれる幹細胞の働きで皮膚の再生と強化が期待できます。
【目の下のたるみ取り】は大きなシワやたるみに効果がある手術です。メリットはあまった皮膚をしっかりと切除できること、デメリットは皮膚に傷ができてしまうということです。
【表ハムラ法】は目の下のふくらみ、くぼみにくわえてたるみも切除することができます。すべての効果を1回で望まれる方にとって大きなメリットです。裏ハムラと異なり皮膚に傷ができるのがデメリットです。
院長 村田 将光
博多もへじのクリニック
診療科目/美容外科 美容皮膚科 形成外科 ※保険診療(眼瞼下垂)
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